そえ木
捻挫(ねんざ)骨折の応急手当にそえ木を使います。
捻挫の対応であるRICEを覚えましょう。
- R:REST(安静)
- I :ICE(冷やす)
- C:COMPRESSION(圧迫)
- E:ELEVATION(上げる)
患部を冷やす時の氷嚢(ひょうのう)としてポリ袋が使えます。布で覆うと保冷効果が長持ちします。
骨折して痛みがある時は動かしてはいけません。
腫れ・内出血・押すと痛い・形が変な時は骨折している可能性があります。
そえ木として段ボールを切り出す、新聞紙を棒状に丸めるなど、上下の関節が動かないように固定しましょう。固定の際にはラップや布が使えます。
足の骨折の場合、内側と外側の両方からそえ木をあて、固定します。
止血(しけつ)
感染対策の基本として、全ての血液・体液・嘔吐物などは感染する危険性のあるものとして扱います。
必ず手袋をしましょう。
止血の方法には大きく分けて、圧迫止血、間接止血の2つの方法があります。
◎圧迫止血の方法
1:出血部に清潔な布をあてる
2:手や包帯で強く圧迫
あてる布は傷口を完全に覆う大きさのものを使います。血が漏れたり、滲まないよう面でおさえます。
◎間接止血の方法
出血部よりも心臓側の動脈を強くおさえます。
腕の場合は二の腕の内側中央、脚の場合は太ももの付け根に動脈があります。
保温(ほおん)
寒い環境に長時間いると、低体温症になります。
自分の温度管理が苦手な子供や高齢者は特に気をつけましょう。
冷気は下にたまるため、気がつかない間に背の低い子供や、いつも座っている高齢者は凍えていることがあります。
低体温症状
- 身体が激しく震える
- 動きが鈍くなる
- 指先が紫や白くなる
寒さ対策
寒さ対策には新聞紙が有効です。
上着のように羽織ったり、靴下の上に巻くことで暖をとることができます。
新聞紙を二つ折りにし、お腹に巻きます。上からラップを巻くと新聞紙の腹巻きができます。基本的に空気を遮断することで寒さの対策になるため、段ボールや発泡スチロール、アルミホイル、緩衝材で代用することもできます。
火傷(やけど)
IHキッチンなどの普及により、普段火を使わない人が増えています。しかし災害時にはカセットコンロやロウソクなどを使うことがあります。
子供や火に慣れていない人は扱いに十分気をつけましょう。
日光を浴びすぎてもやけどになることがあります。
軽いやけどの場合は、15〜20分程度流水で冷やします。水道が使えない場合はペットボトルで水を流すなどの方法で対処しましょう。
水ぶくれができたとしても感染の危険性があるため破ってはいけません。
手のひら10個分以上の広範囲のやけどや、感覚がなくなっている場合は重度の火傷になります。
冷やすだけでなく、刺激を与えないように清潔な布で覆います。
トイレ
災害時は水や電気が使えず、トイレを利用できなくなることがあります。流れないトイレで用を足すと衛生環境が悪くなります。避難所では使えないトイレを必ず封鎖しましょう。
災害時のトイレ問題は衛生環境の保持・臭い・環境汚染・人間の尊厳・防犯に配慮します。
簡易トイレの設置や水を手動で流すなどの方法でトイレを確保、運用しましょう。
簡易トイレとして段ボールトイレがあげられます。組み立てた段ボールにポリ袋を2枚被せ、細かくした新聞紙を入れることで作れます。使用後は上のポリ袋を捨てます。
慣れない環境で用を足すのは至難の業です。一度段ボールトイレを使う練習をすると災害時に困らないかもしれません。
清潔(せいけつ)
水が貴重な避難所においては、食器や調理器具の洗浄不足などにより、食中毒の危険性が高まります。
十分な加熱をするだけでなく、食器を汚さずに使用する工夫が必要です。
ラップを皿にしいて使うことで、皿を汚さず、洗い物を減らせます。
使用後はラップを捨てるだけで清潔を保つことができます。
ベッド
一般的な避難所にベッドはなく、床は固いです。
固い床では身体が痛く、眠りが浅くなることがあります。睡眠不足は免疫力の低下につながるため、睡眠の質を落とさないための対策が必要です。
雑魚寝にはほこりを吸い込むことによる体調不良のリスクもあります。
段ボール用いたベッドを作ってみましょう。段ボールベッドは段ボールを組み立て、繋げることで作ることができます。大量の段ボールがなくとも、段ボールを敷くだけで保温性、クッション性を上げることができます。
水(みず)
避難所生活による疲労・体調不良・栄養不足などにより、熱中症のリスクが高まります。
めまい・失神・筋肉痛・大量の汗・頭痛・吐き気・疲れ・高体温は熱中症の症状です。
暑さを避ける、こまめな水分補給だけでなく、複数人の行動で互いの体調を確認しましょう。
脱水症状として、立ちくらみ・筋肉のけいれん・濃い色の尿・頭痛・喉の渇きがあります。
水の保管方法
飲料水として保管する場合は、ペットボトル満杯に水を入れ、直射日光を避けて保管します。空気が入っていると細菌が繁殖するリスクになります。
生活用水として水を保管する場合は、風呂に水をはりましょう。洗濯やトイレ用に使えます。
水の運び方
ポリタンクとカートがあると便利ですが、ない場合はポリ袋を使いましょう。段ボールにポリ袋をしき、水を入れる。水を入れたポリ袋を布で包むなどの方法で運びやすくなります。
マスク
瓦礫(がれき)や津波で流されたヘドロ、土砂は乾燥すると土けむり、粉じんの原因となります。これを吸い込むことで肺炎になることがあります。
咳、たん、息切れから始まり、進行すると呼吸困難などの症状が現れます。
マスクをする、水をまくなどの対策をしましょう。臭い対策としてもマスクは役に立ちます。
また、災害時には疲労やストレス、栄養不足により免疫力が下がり、感染症が流行するリスクが高まります。
感染を広げないため、弱った体でほこりや砂けむりを吸わないためにマスクで対策しましょう。
感染(かんせん)
トイレをキレイに使う、手を洗うなどの予防が重要です。特に嘔吐・下痢・発熱は感染性の病気である可能性を考慮しましょう。
感染対策の基本として、血液や体液を素手で触ることはしないでください。
嘔吐物や糞便もノロウイルスの感染リスクがあるため素手で処理しないようにしてください。
避難所では普段よりも免疫力が落ちているため、発熱など体調の悪い人と同じ空間にいることもリスクになります。
発熱等の体調不良の人は隔離するなど、避難所全体としての対策も必要です。
消毒(しょうどく)
災害時には免疫力が下がり、感染のリスクが高まります。
トイレをキレイに使う、手を洗うなどの予防が重要です。手洗いなどの水がない場合はアルコールで代用することができます。
嘔吐や下痢のような食中毒の症状がある場合はノロウイルスの可能性を考えます。
ノロウイルスはアルコールで消毒できません。石鹸での手洗い、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒、加熱が効果的です。
次亜塩素酸ナトリウムがない場合は塩素系漂白剤を薄めて使うことができます。